MacBook Neo を買いました。上位の512GB / Touch ID搭載Magic Keyboardのほうで、13万円台です。
Neoといえば「119,800円のMac」というのが売り文句なんですが、上位を選んだ瞬間にその安さの話はどこかへ行ってしまいます。じゃあ13万円払う価値があったのか、そのへんも含めて書いていきます。
まず、なんでNeoにしたのか #
普段の作業がそもそも手元のマシンで完結していない、というのが理由の大半です。
重い処理はVPS側に置いてあるので、手元でやることといえばSSHでつないでターミナルを叩く、メインPCへリモート接続する、あとは文章を書く。ほぼこの3つです。この使い方なら、手元のマシンに求めるのは処理速度じゃなくて、軽さと静かさとバッテリーだよなと。
そう考えるとAirとの差額を出す理由が自分の中で見つからなくて、じゃあNeoでいいか、という流れでした。
構成が2つしかないので、選ぶも何もない #
この機種、買うときに選べる構成が2つだけです。
- 256GB / Magic Keyboard(Touch IDなし)
- 512GB / Touch ID搭載Magic Keyboard
見ての通り、ストレージとTouch IDが抱き合わせになってます。「256GBでいいけど指紋認証は欲しい」ができない。逆もできない。メモリに至っては選択肢すらなくて、全部8GBで固定です。あとから増やすこともできません。
なので実質、悩むのはこの2択だけ。自分は上位にしました。
上位にした理由は、ほぼTouch IDです #
正直に言うと、512GBが欲しかったというより、Touch IDのためにこっちを選びました。容量はついてきただけです。
決め手はパスワードを打つ回数でした。Windowsノートを開くたび、パスワードを何回入力するのか。一日に何回あるか数えたら、ここを削らないのは無理だなと。
下位モデルには代わりに「ロックキー」というのが付いていて、スリープ解除とロック、電源のオンオフができます。便利ではあるんですが、ロックする側が楽になるだけで、解除する側は結局パスワードなんですよね。それだと意味がない。
ちなみにこの抱き合わせ、いまだに納得はしてないです。Touch IDって容量と何の関係もない機能なので、本来全モデルに載っててほしい。とか言いながら結局上位を買っているので、まんまと乗せられてる感はあります。
キーボードの言語は日本語(JIS)、英語(US)、英語(UK)、中国語、韓国語から選べます。USキーボードが普通に選べるのはこの価格帯だとありがたい。
〈補足: 日本語(JIS)にしました。〉
開けた #
入っているのは本体、20WのUSB-C電源アダプタ、1.5mの充電ケーブル。以上です。箱もファイバー素材100%でプラスチックがほぼないので、開封するとゴミがほとんど出ません。撮れ高はないですが、片付けは楽でした。
サイズは幅29.75cm、奥行き20.64cm、厚さ1.27cm、重さ1.23kg。数字だけ見ると13インチのAirとほぼ同じなんですが、持つと少し厚みを感じます。薄さで殴ってくるタイプの機種ではないです。
そのぶん、というか、作りはしっかりしてます。片手で持って開いても天板がたわまないし、アルミの質感も値段から想像するより上等でした。「安いモデルだからちょっと安っぽい」みたいなガッカリはなかったです。
色はシルバー、ブラッシュ、シトラス、インディゴの4色。この価格で4色から選ばせてくるのはえらいと思う。実物は写真より彩度が低くて、思ったより落ち着いてます。外で開いても浮かない感じ。
キーボードとTouch ID #
打鍵感、普通に良いです。フルハイトのファンクションキーが12個並んでて、ストロークもちゃんとある。廉価モデルだからキーボードで手を抜きました、みたいな感じは全然しませんでした。ここは正直いちばん心配してた部分だったんですが、初日で不安が消えました。
で、Touch ID。右上にあって電源キーを兼ねてます。使うのはこのへん。
- スリープからの復帰・ロック解除
- パスワードアプリのロック解除と自動入力
- App Storeやシステム設定の認証
- Apple Payの支払い
一番効くのはやっぱりロック解除ですね。蓋を開けて指を置くだけで戻ってくる。一回あたりは数秒の話なんですが、一日に何十回もあるので体感がだいぶ違います。
あと副次的な効果として、離席するときにちゃんとロックするようになりました。解除が面倒だと「ちょっとだけだしいいか」ってなるんですよね。それがなくなったのは地味に良かった。
トラックパッドはいつものではないですが。精度もジェスチャーの追従も良いですから、Windowsの安いノートから乗り換えた人はたぶんここで一番驚くでしょう。
512GBは、結果的に良かった #
Touch ID目当てで選んだ512GBですが、使ってみると普通にありがたいです。
macOSと標準アプリだけでそこそこ埋まるので、そこに開発ツール、ブラウザ、エディタ、通話アプリを入れていったら、256GBだと早い段階で残量を気にすることになってたと思います。
あともう一つ、これは8GBの話と繋がるんですが、空き容量に余裕があるとスワップにも余裕ができます。メモリが足りないぶんをSSDで肩代わりする構造なので、容量カツカツの状態で無理させると全部まとめて跳ね返ってくる。メモリを増やせない機種だからこそ、ストレージ側は余裕を持たせておきたいです。
画面はこんな感じ #
13.0インチ、2408×1506、219ppi、500ニト。IPSで10億色対応。
普段使いで不満はないです。文字はシャープだし、Retinaなのでドットも見えない。ただ色域はsRGBまでで、P3ではありません。写真や動画の色を詰める作業をするなら素直に他を選んだほうがいいです。
逆に、コードとテキストとブラウザばっかり見てる人には実害ほぼゼロだと思います。自分もそっち側なので気になってません。
500ニトは室内なら十分。直射日光の下はさすがに厳しくて、窓際で作業すると輝度を最大にすることになります。
A18 Proの性能、意外とやる #
チップはA18 Pro。高性能2+高効率4の6コアCPU、5コアGPU、16コアNeural Engine、メモリ帯域60GB/s。
日常操作でチップの遅さを感じたことは今のところないです。ブラウザで10~20タブ開いて、裏でターミナル数枚、Slackとメモアプリ。これくらいならある程度普通に動きます。
意外だったのがメディアエンジンで、H.264とHEVCに加えてProResのエンコード/デコード、AV1デコードまでハードウェアで持ってます。11万円の機械でProResが回るのはちょっとすごい。軽く動画編集も試してみたんですが、がっつりやる機種ではないにせよ、「できない」じゃなくて「できる」なのは印象がだいぶ違います。
Apple Intelligence系もひととおり動きます。作文ツールで文章直したり、写真のクリーンアップで映り込み消したり。待たされる感じはないです。
結論として、ボトルネックはチップじゃなくて常にメモリのほうにあります。
で、8GBってどうなの #
ここが一番聞かれるところだと思うので、正直に書きます。
8GBは「まったく問題ない」と「話にならない」がきれいに分かれます。中間があんまりない。
問題なかったのは、ブラウザ+ターミナル+エディタ+通話アプリという構成。重い処理を全部VPS側に投げてる自分のような使い方だと、メモリプレッシャーは緑のままでスワップもほぼ発生しませんでした。〈実測: 実際のスワップ使用量をここに〉
ダメだったのはローカルでDockerを回そうとしたときです。コンテナを1〜2個立てた時点でメモリプレッシャーが黄色に入って、そこからブラウザを開くと目に見えて重くなります。VMも同じ。開発環境を全部手元に載せる派の人には、この機種は勧められません。
あと個人的に気にしてるのがSSDへの負荷です。macOSのメモリ管理が優秀なのは事実なんですが、それって足りないぶんをSSDで肩代わりしてるという話でもあるので、8GBで無理な使い方を何年も続けたら書き込み量はそれなりに積み上がるはずです。長く使うつもりならなおさら用途を選びます。
まとめると、「重い処理を手元でやるか、外に逃がすか」で答えが決まります。スペック表とにらめっこするより、自分の作業がどっち側かを考えたほうが早いです。
ターミナル中心の使い方だとどうか #
自分のメイン用途なので書いておきます。
やってるのはVPSへのSSH、Termiusでのセッション管理、リモート側のファイル編集、ローカルではエディタとGitとブラウザ。この範囲だと8GBの制約はほぼ顔を出しません。むしろ静かで熱くならないぶん、長時間ターミナルを眺める作業とは相性がいいくらいです。
Apple Siliconネイティブ対応のCLIツールはもう十分揃ってるので、環境構築で詰まることもなかったです。
逆に、ローカルでコンテナ立てて検証しようとした瞬間に前述の壁にぶつかります。自分は最初からその使い方を捨ててるので問題になってないだけで、ここは人によって評価が真逆になると思います。
ディスプレイ2枚は無理でした #
ここが一番の欠点です。
外部ディスプレイは仕様上4K/60Hzを1台まで。しかもDisplayPortに対応してるのがUSB 3側のポートだけなので、映像を出せる穴が物理的に1個しかありません。つまり枚数の制限とポートの制限、両方から挟まれてて、2枚はどうやっても成立しないです。
実際に2枚構成を組もうとして詰みました。ハブを噛ませればいけるだろうと思ってたんですが、出力自体が1台までなのでハブを足しても意味がない。まあこれは買う前に仕様表をちゃんと読んでれば分かった話なので、自分の確認不足でもあります。
回避策としては、DisplayLinkみたいなUSB経由でソフトウェア的に映像を送る方式のアダプタを使えば増やせるらしいです。ただ対応製品を調べたら価格が想像よりだいぶ高くて、そこまで出すなら本体の選択から見直すべきでは、という気持ちになったので導入してません。なので実際に動くかどうかは検証してないです。ここは「らしい」以上のことは書けないので、同じことを考えてる人は自分で裏を取ってください。
1台なら本体側もフル解像度のまま使えて、4K60Hzもちゃんと出ました。
ポートの罠にも触れておく #
USB-Cが2つありますが、これが同じものじゃないです。
- 片方はUSB 3(最大10Gb/s)。充電とDisplayPortにも対応
- もう片方はUSB 2(最大480Mb/s)。充電はできるがそれだけ
見た目が同じ形なのに転送速度が20倍違います。外付けSSDを挿す穴を間違えて「Neo遅すぎ」って言い出す人、絶対に出てくると思う。
MagSafeはないので充電もUSB-Cから取ります。つまり充電中は実質ポート1個。外付けSSDを使いながら充電するとUSB 2側が埋まるので、据え置きで使うならドックがあったほうが精神衛生にいいです。
3.5mmヘッドフォンジャックが残ってるのは素直に嬉しい。Wi-Fiは6E、BluetoothはBluetooth 6。このへんは価格を考えれば十分すぎます。
OBSで配信できるか試した #
気になったので検証しました。結果、配信するものによってはっきり分かれます。
ブラウザとか軽いアプリのウィンドウを映すだけの配信は全然問題なかったです。雑談配信、画面共有しながらの解説、ブラウザゲームくらいなら余裕。A18 Proのエンコーダがちゃんと効いてる感じがします。
問題はゲーム配信のほう。Minecraftを単体でプレイした時点で60fps前後でした。遊ぶだけなら快適なんですが、これって裏を返すと「余力がほぼない状態で60fps」ということでもあります。ここにOBSを起動して配信処理を乗せたら、当然もっと重くなるのでfpsは落ちます。
なので、ゲーム配信をこの機種一台で完結させるのは現実的じゃないです。プレイ用と配信用で分けるか、配信は別の機械でやるか。ゲーム実況をやるつもりで買うのはやめておいたほうがいいと思います。
逆にゲーム以外の配信なら普通に選択肢に入ります。
バッテリーは8時間くらい #
公称は動画ストリーミングで最大16時間、ワイヤレスインターネットで11時間。バッテリー容量は36.5Whです。
実測は8時間くらいでした。公称の半分ですが、条件が全然違うので当然といえば当然です。公称値って動画を再生し続けただけの数字なので、常駐アプリを大量に抱えた実運用とは比較になりません。
自分の環境はけっこう常駐が多くて、NotionとMaccy、Discord、Chrome、Excel、SpotifyとApple Music、あとメールアプリ。これで普通に一日作業して8時間なら、まあ妥当かなと思ってます。そもそもChrome使ってる時点でこの機種には条件が悪い。
8時間持てば朝から夕方までは電源を探さずに済みます。外で丸一日はちょっと心もとないですが、日中をカバーするには足りてる。もっと伸ばしたいなら常駐を減らすかブラウザをSafariに寄せるか、という話になりますね。
熱はほとんど出ないです。膝に乗せてても熱くならない。これは地味ですが毎日効きます。
カメラ・マイク・スピーカー #
カメラは1080pのFaceTime HDカメラ。暗い部屋でもそれなりに見られる絵になります。ビデオ会議で困ることはないです。
マイクはビームフォーミング対応のデュアルマイクアレイ。「声を分離」モードを使うと環境音がかなり削れます。
スピーカーはデュアルのサイドファイアリングで、ドルビーアトモスの空間オーディオにも対応。ノートPCのスピーカーとしては良いほうですが、低音は出ないので音楽をちゃんと聴くなら別途用意することになります。
macOSとiPhone連携 #
初期設定はiPhoneを近づけるだけでほぼ終わります。Windowsからなら移行アシスタント。ここはもう完成されてるので特に書くことがないです。
日常で効いてるのはiPhone連携のほうですね。ユニバーサルクリップボードでiPhoneでコピーしたURLをそのままMacに貼れるのは、慣れるとAirDropすら面倒になります。iPhoneミラーリングも便利で、Mac版がないアプリの通知をMac上で処理できるので、机の上でiPhoneを取る回数が明確に減りました。
あとInstant Hotspot。Wi-Fiがない場所でもiPhoneの回線をワンタップで共有できます。1.23kgで8時間持つ機械とこの機能の組み合わせは、持ち出す前提だと普通に強いです。
Spotlightからアプリやファイルだけじゃなくアクションの実行やクリップボード履歴まで辿れるので、キーボードから手を離さずに済む範囲も広いです。
できないことをまとめておく #
期待して買うと外すやつ。
ディスプレイ2枚は不可能。1台まで。DisplayLinkで回避できるらしいけど高い(未検証)。
ゲーム配信は無理。Minecraft単体で60fps前後、OBSを重ねたら落ちます。
メモリ増設はできない。8GB固定。
バッテリーは公称の半分と思っておく。実運用8時間前後。
色の仕事には向かない。sRGBまで。
ポートは実質1個。充電しながら外部ストレージを使うならドック必須。
ゲーム自体はmacOSネイティブ対応のタイトルとApple Arcadeの範囲なら動きます。ただVRChatはそもそもmacOSクライアントがないので、そこに期待して買うのは完全に的外れです。
256GBと512GB、どっち買えばいいか #
差額は2万円弱で、これでストレージが倍とTouch IDが付いてきます。
自分の答えは「予算が許すなら上位」です。理由の8割はTouch ID。ストレージは外付けでどうにでもなりますけど、指紋認証は後付けできないですし、毎日何十回も触る部分なので。
下位が合理的なのは、たぶんこのへんのケースだけだと思います。
- 家族用や学校用で、そもそもパスワード入力の頻度が低い
- 予算が完全に固定されてる
- 外付けSSD前提の運用がすでに確立してる
学割を使えば下位は104,800円まで下がるので、学生なら浮いたぶんを上位構成に回すという考え方もアリだと思います。
Airと迷ってる人へ #
| MacBook Neo(512GB / Touch ID) | 13インチ MacBook Air | |
|---|---|---|
| チップ | A18 Pro(6コアCPU / 5コアGPU) | M5 |
| メモリ | 8GB固定 | 構成で選択可 |
| バッテリー | 公称16時間(実測8時間) | 公称18時間 |
| ポート | USB 3 ×1、USB 2 ×1、3.5mm | Thunderbolt 4 ×2、3.5mm、MagSafe |
| 外部ディスプレイ | 1台 | より多く |
| 価格 | 13万円台 | さらに上 |
上位まで来ると価格差がだいぶ縮まるので、ここが悩みどころです。119,800円という数字の分かりやすさは上位構成にはないので。
効いてくるのはチップとメモリとポートですね。Thunderbolt 4が2つあること、MagSafeで充電してもポートが空いてること、メモリを増やせること。あとディスプレイの枚数。このへんに価値を感じるならAirにしたほうがいいです。
自分の基準はシンプルで、将来の用途が読めないならAir、用途が確定してて軽い側にあるならNeo。Neoは「安いから買うMac」じゃなくて「用途を絞れる人が選ぶMac」だと思ってます。
で、結局どんな人向けか #
初めてのMac、学生の一台目、家族用、ソファで使うサブ機。このへんに当てはまるなら、これ以上ない選択肢だと思います。20万円出さずにmacOSとApple Intelligenceとあのトラックパッドが手に入るので。
自分みたいに重い処理をサーバ側に逃がしてて、手元にはターミナルとブラウザしか置かない人にもよく合います。この使い方だと8GBの制約がほとんど顔を出さないので。
ただ、面白かったのは、実際に不満になったポイントが事前の予想と違ったことでした。警戒してた8GBは用途を絞ってたおかげで想定内に収まって、代わりに毎日ぶつかってるのはディスプレイ1枚制限と、実測8時間のバッテリーです。買う前にチェックすべきだったのはメモリの数字じゃなくてこっちだったな、というのが正直な感想です。
逆に、これ一台で仕事も開発も配信も全部やろうと思ってるなら、やめておいたほうがいいです。8GBで詰まる日は必ず来るし、ディスプレイも増やせません。そこで買い替えるくらいなら最初からAirを買ったほうが安く済みます。
安い機種のレビューで一番やっちゃいけないのは「この値段だから仕方ない」で全部許すことだと思ってます。Neoについては、許せる部分と許せない部分がかなりはっきり分かれてました。8GB固定とUSB 2ポートは、この価格を成立させるための割り切りとして理解できます。Touch IDを上位に閉じ込めたのだけは、いまだに納得してないです。まあ結局その上位を買ってるので説得力はないんですが。
DisplayLinkのアダプタを試す機会があれば、2枚出力が実際に使えるかどうかは追記します。ストレージの減り方についてももう少し使ってから書き足す予定です。